FXにおいて損失確定は、出来れば誰もが避けたいと考えるはずです。
しかし、FXで勝率100%は不可能ですので、損切りは必ず発生します。
問題は、「損切りが発生した時に、思った通りの損切りが出来ているかどうか」です。
損切りの理解が浅いと、大事な資金を一瞬で失ってしまいますので、確実に理解しておきましょう。
損切りが出来ない、難しいと思っている方は、なぜ損切りをしなくてが必要なのかを深く理解すれば、無理なく出来るようになります。
損切りしないとどうなるか
【損切りが大事】と言うのは、FXのどんな説明を見ても言われている事です。
一体なぜ損切りが大事なのかを実際の取引きの流れを確認しながら説明していきます。
FXを始めた最初の頃によくありがちなトレードを、ご覧になって下さい。
チャートの値動きとその時のトレーダーの心情も交えてあります。
①事前にチャートで分析をした上で、『買い』でエントリーしました。
「これまでの上昇トレンドに乗って、押し目買いをしたつもりなので、当然価格は上がっていくはずだ。」と自分の分析に自信を持っています。
②エントリー後、予想に反して価格が下落し始めました。
この時、損切りが出来ない人は、「もう少ししたら、また元に戻って来るだろう」と考えて、ポジションを放置します。
③その後、価格は元に戻らず、さらに下落していきます。
それでも損切り出来ない人は、「これだけ下がったのだから、そろそろ上がって来るだろう」と考えて、またポジションを放置します。
④残念ながら、価格は戻るどころか、益々下落していきます。
ここで、強制ロスカットや追証を避ける損切り(損切りと言うよりただの決済)をようやく実行します。
⑤その直後から、不思議な事に価格は上昇を始めます。
やっぱりそのまま持っておけばと、損失確定した事を後悔します。
何が間違いなのか
①~⑤までの間にこのトレーダーは多くの間違いを犯しています。
①エントリー前の分析
環境認識からエントリーをする際に、損切りするポイントを定めておくのは絶対です。
損切りが出来ないならば、エントリーの際に逆指値で損切りを入れておくのも解決策の一つです。
ここでしっかり損切りの設定が出来ていれば、その後のマイナス拡大は回避出来ますので、この段階が一番重要です。
②「元の価格に戻るだろう」の考えは危険
「しばらくしたら元の価格に戻るだろう」とポジションを保有し続けるのは、マイナスをさらに拡大させてしまうので、大変危険です。
そもそも、予測に反した時点で、事前の分析と予測は破綻しています。
まずは損切りをして、改めて分析をして、エントリーポイントを探すべきです。
万が一、元の値段まで戻ってきても、それはただ運が良かっただけです。
ラッキーは毎回は続きませんので、運に頼るトレードはやめましょう。
③「そろそろ戻るだろう」は、ほぼ戻らない
「これだけ下がったので、そろそろ戻るだろう」と自分は思っても、他のトレーダーは、同じとは限りません。
「下げが加速したので売ろう」「これ以上、下げる前に損切りしてしまおう」と考えて新たな売りを考えているトレーダーもいます。
「これだけ下がったから」は、根拠のない主観的な判断です。
トレードは値動きを客観的に見つめて、根拠を持って行いましょう。
④お祈りトレード
ここまで来ると「戻って下さい。お願いします。神様!!」と言ったお祈りのみです。
FXは祈りのみで成功する程甘くありませんので、その前に対処しましょう。
⑤売った後に上がって後悔する。
売った後に何故か上昇するのは、たまたま大きな損失を出した後で、その場面が印象に残りやすいだけに過ぎません。
無駄に後悔するのではなく、どうして損切りになってしまったかを考えましょう。
損切りをしていたら、どの位マイナスを減らせたのか
②の段階で潔く損切りをしていれば、その後の下落は損失にならなくて済んだはずです。
LOT数にもよりますが、仮に1万通貨売りでポジションを持っていたとしたら、109.500位で買っていますので、下記のようになります。(スプレッドは考慮していません)
②で損切り・・・109.250売り:マイナス2,500円(マイナス25Pips)
③で損切り・・・108.750売り:マイナス7,500円(マイナス75Pips)
④で損切り・・・108.000売り:マイナス15,000円(マイナス150Pips)
実に12,500円もの差があります。
LOT数が増えればその分マイナスも増える事になります。
損失を最小に抑え、利益を最大に伸ばすのが、FXの基本です。
どこで損切りをすれば、損失を最小に出来きたかと言えば、間違いなく②です。
損失を避けようとする事で、損失をさらに広げてしまっているのです。
ナンピンするとどうなるか
よく、②や③でナンピンをするトレーダーもいます。
下げが加速しているので、さらに売りを考えいるトレーダーもいる中で、買いを入れるのは、危険以外の何物でもありません。
ナンピンはその時の瞬間の状況でエントリーしますので、感覚で入る事が多いです。
繰り返しですが、主観的な根拠のないトレードは大けがの基です。
まずは、ポジションを整理してから、再度買いのタイミングを伺った方が、間違いなく、損失を抑えて、利益を増やせます。
損切りは戦略的撤退
これまでの説明の通り、損切りを遅らせる行為は、マイナスを拡大する原因です。
損切りをしない危険性を理解できれば、損切りは躊躇なく出来るようになります。
多少の慣れは必要ですが、事前に決めた損切りポイントは守る様に心がけましょう。
損切りする事によって、その後に発生するであろう損失を回避出来たとしたら、それはいわゆる戦略的撤退です。
自分の分析や予測に固持し過ぎたりすると、損切りの判断を遅らせてしまうので、注意が必要です。
相場は常に変化しているので、その時の値動きで判断する事が求められる場面もある事も頭に入れておきましょう。
皆が損切りし終わった後からゆっくり考える
急激な上昇や下落が発生した際に、思惑と逆に価格が進んだ場合は、すぐに撤退しましょう。
大衆が慌ててる間に、どんどん価格は逆方向に進んでいきます。
一度冷静になり、値動きが落ち着いた所(損切りが落ち着いた所)から、ゆっくりエントリーを考える位の余裕が必要です。
実際にポジションを保有していて、損失が膨らんでいる過程では、なかなか冷静な判断が出来ません。
加えて、損失を確定する事に躊躇してしまいがちでもあります。
ポジションを持っていない時に、損切りの重要性をしっかり頭に入れて、いざという時に備えておく事が肝心です。
毎回のトレードの振り返りで、利益確定や損切りが適正だったかを振り返ることで、正しい判断が出来るようになってきます。
繰り返し振り返る習慣をつけましょう。